1回の治療で変化があるのが良いことなのか？
世の中には、整形外科、整骨院、整体院、指圧院、鍼灸院、カイロプラクティック等々、いろんな治療を施すところがあります。
東京都内だと、一つの駅の周辺に多くの治療院が存在します。電車の止まる駅は沢山あるので、治療院は無数にあると言っても過言ではありません。
患者の状態の見立て方や、治療の方法や治療の計画は、それぞれ違っていたりします。
そこで、今回は「1回の治療で効果があることは良いことなのか？ということを考えていきたいと思います。
今回のテーマでは、内臓疾患や骨折等の急性の怪我のような、病院でしか対応できない病態や疾患は除いたところの、慢性的な身体の状態での話をさせていただきます。
私個人の考えとしては、1回で治そうとする技術は本物ではないと思っています。
身体をいじると、1回でも変化があるということはあると思います。
さっきより身体が真っすぐになったような気がする、身体がすっきりしたような感じがする、さっきより痛みが軽減したような気がする、さっきより肩が上がるようになった感じがする等、身体に何らかの刺激を与えると、何かさっきより身体が良くなったような感じがする場合はあります。
しかし、それは本当の意味で改善しているのか？
私は、それぐらいでは改善していないと考えます。
1回の変化は、しょせんはその場しのぎの一時的な変化にしか過ぎません。痛み止めで痛みを止めるより身体に負担が無いこともあるかもしれませんが、それ以外は痛み止めで一時的に痛みをごまかしているのと大差ありません。
身体そのものが根本的に変わっていないので、またすぐに元の身体の状態に戻ってしまって、元の身体の辛さが現れてきます。
1回の変化＝効果があったではないというのが、私の考えです。
治療においてどのように対応していくかが、1回の治療の意味を大きく違うものにしていきます。
それによって、１回の治療で変化があることが、良いとも言えるし、良くないとも言えるようになります。
1回の治療での変化が良くない場合とは
それでは、1回の治療の変化が良くない場合とは何かについて考えたいと思います。
それは、慢性的に良くない身体の状態を文字通り1回の治療で何とかしようとするやり方です。
1回でたまたますごく楽になった、しばらく痛みが軽減している状態が続いたということがあったりすることもありますが、
それをもって、先生の技術がすごいとか、ゴッドハンドとか言うのは、かなり稚拙な話であります。
1回で良くなって、それで治ったと思っている人は、それだけ身体の状態が悪くなかったか、本当の意味で治ったとか、改善したという意味をはき違えているだけだと思います。
長い時間かけて、姿勢が悪くなったり、身体を酷使して、慢性的に身体の状態が悪くなって現れた身体の不調は、1回の治療だけで改善することは不可能です。
ある程度、長い時間かけて悪くなった身体の状態は、ある程度の期間、回数をかけて治療しないと、根本的に身体は変化（本当の身体の改善）していくことはありません。
1回治療して、たまたまさっきより身体が楽になったぐらいで、「これだ治りましたので、また辛くなったら来てください」と言っているようなものは治療とは言えません。
リラクゼーションに近いもので、その場の満足感だけを患者さんに与えることになります。
リラクゼーションを馬鹿にしているわけではなくて、リラクゼーションが目的なら、その場で気持ちよく楽に感じてもらうことは良いことだと思います。
しかし、治療でそれをやっていては治療にならないと思います。
きちんと、計画的に治療をしていかないと、また翌日痛くなったり、何日か経ったらまたも元の身体の辛さに戻っていて、また1回で治そうとする治療を受けて、また辛くなっての繰り返しになってしまいます。
1回の治療での変化が良い場合とは
1回の治療での変化が良い場合とは、一定期間、適切な頻度で適切な回数の治療を程くしていく場合に現れる身体の変化です。厳密に言うと、1回の治療ではなく、複数回治療を受けてもらっている中での、節目の1回1回の治療で身体に根本的な変化が現れるのはとても良いことです。
本当の慢性的な身体を改善する治療とは、1回限りのものではなく、5回、10回、15回、20回（重症や慢性度合いが強い場合はもっと回数をかける場合がある）ぐらいのスパンで施術を施していって、根本的な身体の変化（改善）を感じてもらうことです。
身体の状態にもよりますが、関節の動き、痛みの度合い、動ける時間、姿勢の改善等、大まかな改善の指標があります。
例えば、今まで痛みが楽になっても2日で戻っていたのが、1週間経っても痛くならないようになった、そこから治療を進めていったら、さらに1か月経っても痛みが出なくなったというような身体の変化は、その場しのぎではなく、確実に身体の状態が変化（改善）していないと、そのような結果は現れません。
肩が痛くて、手を背中に回せなかったのが、治療を受け続けた結果、元のように背中に手を回せるようになって、1年たってもその状態が続いているとか、
今まで、5分歩くと、足がしびれてきて休んでいたのが、30分歩けるようになった、更に治療を受けて、1時間歩いてもしびれが出なくなり、その状態がずっと続いている、
デスクワークで、すぐに姿勢が悪くなって、腰が痛くなって座れなくなっていたのが、治療を受け続けて、ずっと座っていられるようになった、良い姿勢を保てるようになった、
とにかく、最初に感じていた身体の症状が改善して、その改善した状態が長い期間保てる状態になってもらうことが、本当の治療の目的であり、本当の治療技術とは、このように、計画的に治療を受けてもらう中で、根本的な改善に導いていける技術ことです。
本当の治療の知識とは、根本的な改善を目的とした中で、根本改善に沿ったアドバイスや指導ができて、患者さんの身体の状態、精神状態にあったことを言えることです。そして、根本的な改善の道筋を明らかにしていくことです。
この目的が果たせている状態での治療における、1回1回の身体の変化は良い変化だと言えます。
慢性的な身体の不調の治療において何が大事なのか
それは、その場の症状の解消を目的としないことです。
痛みをその場で解消したいなら、痛み止めや、ブロック注射が最適なものかもしれません。ただ痛みをすぐに解消したいという目的ならそうかもしれません。
しかし、ご存知の方もいると思いますが、痛み止めは、治すものではありません。あくまでも、痛みを抑えるだけのものです。痛み止めが効いたから、治ったというものではありません。
手術を考える時もそうです。本当に手術が必要ならした方が良いのでしょう。しかし、痛みがすぐに解消できるかもしれないと言って、必要のない手術を行っても痛みが改善しなかったという例は沢山あります。
痛みというものは感じなくなるとｍどんなに身体の状態が悪くても動けてしまいます。身体に痛みが出ているぐらいに良くないのにさらに身体に負担をかけ続けて悪化させてしまうことになります。
本当に、慢性的に身体の状態が悪くなっていたら、1回で良くなることはありません。1回で良くなりそうな兆しを感じることがあっても、全員が必ずそういうものを感じるわけではありません。
時間をかけて悪くなっていった身体を本当の意味で良くしていくには、回数をかけて身体を変化させていくしかありません。それで少しづつ改善していって、10回、20回、30回と治療を受け続けられた後に、以前とは違う良い意味での身体の変化と症状の改善を実感してもらうことが大事です。
そして、慢性的に身体の状態が悪くなった原因、生活習慣を改善してもらう取り組みを指導して実際に行ってもらうことも、とても大事です。
そういったことから、本当の治療とは、施術者の一方的な独りよがりの治療ではなく、患者さんと歩調を合わせての共同作業、足並みをそろえて共通の認識を持っての治療が本当の治療と言えるのではないかと個人的には考えています。
施術者が治してやろうという意識での独りよがりの治療は、治療とは呼べない代物なのかもしれません。
患者さんとの協力体制で、身体が楽になって、その楽になった身体の状態を維持できるように導いていくお手伝いをしていく。それが、本当の意味での根本改善、慢性的に悪くなった方に対しての本当の治療だと言えるのではないかと思います。
最後に
治療の考えは、病院や整骨院、整体院によって、全く考え方や、治療方法、その根底に流れている哲学が違います。
どのような治療を選択するかは患者さんの自由です。
はっきり言って、どんなに良いと言われているような治療でも本当の効果は受けてみないと分からないというものです。
患者さん自身が、本当に根本から改善した、良かったと思えるような治療に巡り合われたら、それが何よりだと思ういます。
今回は「1回の治療で治すのが良いのか？」というテーマで書いていきましたが、何かしらの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
赤羽太陽堂整体院では、本当の意味での根本改善のこだわって患者さんの対応に当たっています。
これからも、本当の意味での慢性的な身体の状態の改善を研究して取り組んでいく所存です。
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