マッサージ等、医療類似行為について
あん摩マッサージ指圧師は、なでる・押す・揉む・叩く等、あらゆる行為を用いて、人体の変調を改善するために手技のみで改善するための治療を行う施術者と定義されています。
国家資格である、あん摩マッサージ指圧師の免許を持っていない人が行う巷の施術(リラクゼーション)も似たようなものがあり、違法行為が取り締まられないのは不思議であると思っています。
どうせなら、押す・揉む・叩く・さする等の手技を用いて施術を行うためには、あん摩マッサージ指圧師という国家資格が必ず必要だということでしっかりと境界線を引いた方が良いのではないかと個人的には思っています。
かくいう私の、若い頃は人の身体を押すのに、あん摩マッサージ指圧師の免許が必要だという認識が全くなくて、リラクゼーションサロンで人の身体を押し続けていた時期がありました。
それでも、身体が楽になったとお客さんから言われると、嬉しかった記憶があります。リラクゼーションサロンを利用している人は多いので、人のお役に立っているのだと思います。
リラクゼーションもグレーゾーンと言われる領域で、現状は、治療を謳わないで人の身体を悪くしないようにすれば、押す・揉む・叩く・さするという手技を用いても違法行為とはならないようです。
リラクゼーションとあん摩マッサージ指圧師との違いとは
それでは、あん摩マッサージ指圧師とリラクゼーションが同じかと言うと、はっきりと違うと言いきれます。
それは、ターゲットや目的が明確に違うということです。
リラクゼーションでは、お客さんの気になっているところを聞いて、首肩が気になるようであれば主に首肩の筋肉をほぐしてあげるという感じです。
いちおうターゲットは明確に決まっていて、筋肉をほぐすためのテクニックがあり、経験年数や施術者の才覚によって上手い、下手があったりします。
ただ、そこには確たる哲学やターゲット、目的が曖昧だったりします。治療ではないので、当然と言えば当然のことです。
あん摩マッサージ指圧師は、基本的に押す・揉む・さする・叩くという手技も使用しますが、はっきりと目的が違うということが言えます。
解剖学(神経・内臓・筋肉・骨格)、生理学、臨床医学などや、東洋医学(経絡・経穴など)などの観点から、施術者が患者さんを対応する前に、施術を行ってよい人かどうかの鑑別を行い、そして、医学知識に基づいて、問診・検査、必要に応じてカウンセリングを行います。
問診などで得た患者情報を基に、ターゲット(皮膚・浅筋膜・深筋膜・筋肉・関節・神経など)を決めて、患者の身体に適した手技を施していきます。
そして、患者の主観的な感想(すっきりしました、楽になりましたなど)だけでなく、施術者として、患者の身体の変化を観察しながら必要な回数をかけて施術を行うことで改善に導いていきます。
明らかに大きな違いとしては、リラクゼーションは1回で全てを評価するようなやり方です。その施術直後に、すっきりした感じや楽になった感じで、お客さんが満足すれば良いという世界です。
しかし、リラクゼーション的なやり方では、計画的に治療するということはないので、楽になった感じが継続してあるのかや、その時の筋肉がほぐれるといった変化だけではなく、実際の身体そのもの(筋肉の硬さ、全体のバランス、痛みなどの症状の変化、関節の動きなど)が良い方向に変化しているのかということをみることはありません。
治療としての施術は、患者の身体の状態に合わせて、必要に応じて回数をかけて施術の重ねていって、患者さんの身体の状態が良い方向に変化していくように導いて、身体の明らかな改善を図っていくことです。
国家資格を持っていたとしても、患者を1回で評価するようなやり方、その場で楽になったか、患者さんの主観だけで施術直後に楽になったということだけの評価に終始しているようでは、治療とは言えないとも思います。
たしかに、1回であろうができるだけ患者さんに楽になったと言われることも大事ですが、治療という観点で、もっと大事なのは患者さんの身体の変化をしっかりと評価して、実際に楽になった状態が継続できるような身体の状態に慣れるように改善して導いていくことだと思います。
リラクゼーション的なやり方だと、目的が施術後に気持ち良くなってもらうこと、すっきりして満足してもらうことになります。そういう場合はそれでよいと思います。ただ、治療的に言うと、それだけではいけないとも思います。
国家資格だから良いのか
私は、国家資格として、あん摩マッサージ指圧師を持っていますが、国家資格を持っているから私は偉いとも凄いとも思っていません。あん摩マッサージ指圧師は全国に十二万人以上いて、私はその中の一人にすぎません。国家資格を取るための学校を出て免許を取ったぐらいで、簡単に治療の現場で通用するほど、この業界は甘くはありません。
必要な勉強は学校だけで行うのではなく、人の身体を触る治療を生業としている限りは、ずっと学び続ける必要があり、勉強に終わりはないと思っています。なので、必要なことを必要な限り学び続けていきたいと思っています。
そして、大事なのは学びを座学で終わらせて頭でっかちにならずに、きちんと知識に基づいた技を磨いて、患者さんに対して治療としての有効な施術ができるようになることです。
案外、国家資格を持っているからといって、国家資格者の全ての人が情熱を持って現場に携わっているかというとそんなこともなく、そこで学びを辞めてしまって生きている人が多いかもしれません。私自身、気をけていきたいところだと思います。
学校で成績優秀でも、知識をいくら詰め込んでも、実際の役に立たなければあまり意味はありません。このことはどの世界でも言えることなのではないかと思います。
手技の練度で言うと、意外とリラクゼーションで情熱を持って働いている人の方が、ただの国家資格者よりも筋肉をほぐすのが上手かったりすることがあります。
私の場合、あん摩マッサージ指圧師という国家資格は、客観的に見て、押す・揉む・さする・叩く等の手技を用いて自院にて治療を謳って施術を行うために取得した資格です。そして、実際に治療を患者さんに施して楽になってもらう為、お役に立つ為に必要だと思ったものです。そして、最低限の医療知識を知るために学校に通ったというのがあります。
国家資格を持っていたからといって、全ての国家資格者が患者さんの為に良いかと言うと、人によるのではないかと思っています。患者さんにとっては、ある先生を患者さん自身が良いと思えば、その患者さんにとっては、その先生は良い先生ということになるのでしょう。
赤羽太陽堂では何を行っているのか
赤羽太陽堂整体院で私が行っている施術では、人の身体の筋組織を押すことが技術の主体ですが、アプローチする際には、
・皮膚(真皮など痛みを感じる受容器等が密集しているところ)
・浅筋膜
・深筋膜
・筋肉(筋紡錘・ゴルジ腱器官)
主に、この4つ組織ごとの効果を考えて、アプローチを行っています。
必要に応じて、拇指だけでなく、肘、前腕、手拳、四指なども使用します。
そして、補助的に、専用の道具を使用して、関節構成体へ適切な刺激を送り、神経機能を整えるということがあります。
ただ、固くなった筋肉を考えもなしにほぐすというのではなく、施術で行うアプローチには、きちんとした治療という観点で意味があるものになっています。
私自身は、筋肉をほぐすこと自体はすごく有効であり、必要不可欠なアプローチ法だと思っていますが、国家資格を持って、治療的観点から患者さんの身体に施術を施す際には、きちんとした理論が大切だと思っています。
今回は、「私の整体論考察1(リラクゼーションとあん摩マッサージ指圧師)」というテーマで書いていきました。
また今後も、「私の整体論考察」というテーマで、いろんな観点からの話を書いていきたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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